4661s

便所バチ

便所バチの顔

Stratiomyidae 複眼にヒビの入った便所バチの会話 4661s

A : どうしたんだい?元気がないじゃないか?何をそんなに落ち込んでいるんだい?
B : 別に落ち込んでいるわけじゃないんだ。ただ、どうしても納得できないことがあって・・・。
A : 納得できないこと?
B : ああ。どうしても納得できない。
A : 何が納得できないのか聞かせてくれよ。
B : いいとも。先月、僕のことを殴って、僕の複眼にヒビを入れた犯人が便所バチの国の警察に捕まったんだ。
A : そのことならニュースで見たよ。
B : そこで僕はそいつに治療費やら慰謝料を請求しようと思って、便所バチの国で有名な弁護士の所へ行ったんだ。
     ところがその弁護士って野郎が
     めちゃ高い相談料までとってるくせに、全くと言っていいほど僕の味方になってくれようとしない。
     僕が必死に「あの犯人を訴えたいんです!先生!お願いします!」と繰り返しても、
     原告の利益になるとは思えませんねえ。やめておいたほうがいいですよなんてほざきやがる。
     僕は訴えたいんだって言っても鼻くそばっかりほじってて全然聞く耳を持っちゃいない。
     とうとう僕も頭にきちゃって、ふざけんな!訴えるのがおまえの仕事だろって怒鳴っちゃったよ。
     マジでムカついた。あのクソ弁護士。
A : あはは。面白いじゃないか。
B : 笑いごとじゃないよ。便所バチの国ってのは裁判もできねえ国なのかと思っちまったよ。
A : まあまあ、そんなに怒るなって。
     キミは知らなかったかもしれないけど、便所バチの国の弁護士ってのは金の亡者なんだ。
      金にならないことは絶対にやらない連中ばっかりなんだよ。
B : 金にならないことはやらないだって?別に僕は弁護士費用なんてケチるつもりはないぞ!
     そのくらいの金なら持ってるもん。
A : そういう初歩的な費用を払えばいいって話じゃないんだよ。
     基本料金とは別にどれだけの報酬が貰えそうかってことが便所バチの国の弁護士にとっちゃ重要なんだ。
     仮にキミの申し出通りに訴えて裁判に勝ったとしても
     便所バチの国の弁護士がキミからもらえる金はいったいいくらかってことだよ。
     百円?千円?
     書類作って、裁判所にまで行って、たったそれだけかよ。なめんなよ!そんな仕事やってられるかってわけだよ。
     そこで便所バチの国の弁護士は弁護士費用の基本料金ってものを取り出してキミを説得しようとする。
     犯人からもらうお金から基本料金を差し引いただけで大赤字ですよって。
     弁護士費用の相談料とか着手金とか基本料金ってのは
     弁護士が弁護士稼業を続けるために必要にして十分な金ってわけじゃなくて、
     つまんねえ仕事を蹴散らすための方便なんだよ。
     キミの名誉、キミのプライドを守るために協力しようなんて気持ちはこれっぽっちもありゃしない。
     便所バチの国の弁護士が一緒に頑張りましょうなんて手を差し出すのは、金になりそうだと思った時だけなんだよ。
     報酬やら謝礼で大儲けできそうだなって思ったときだけ。
     負けると分かっている裁判でも金がもらえるんだったら便所バチの国の弁護士は仕事を引き受ける。
B : そうなんだ・・・。じゃあ、僕が基本料金の他に数百万出しますからって言ったら引き受けてくれたのかな。
A : たぶんすぐに引き受けただろうね。無碍には扱わなかったはずだよ。原告の利益なんてことも言わなかっただろうね。
B : くだらねえ・・・。便所バチの国の弁護士って庶民の味方かと思っていたのに。
A : そんなことあるわけないって。あんな連中に頼ろうとしたのが間違いだったんだよ。
     この際だからついでに便所バチの国の弁護士が嫌いな言葉も覚えておいたほうがいいよ。
B : 嫌いな言葉だって?
A : ああ。ボランティアと慈善事業っていう二つの言葉がやつらが心底嫌っている言葉だよ。
     便所バチの国の弁護士がキミの味方になるのは、キミが殺されて、がっぽりと賠償金を取れそうなときだけ。
     そんな時にはこっちから相談に行かなくても向こうから飛んでくる。
     そして神妙な面持ちで遺族につぶやくんだ。私に弁護をやらせてくださいってな。
B : そうなんだ・・・。知らなかったよ。
     金のないやつは相手にしない、金を出さないやつは相手にしないってか。
     便所バチの国の弁護士って最低なんだね。
     今度は人間の国の弁護士にでも相談してみようかな。
A : そのほうがいいかもな。人間の国には神様みたいなのがいっぱいいるみてえだし。
     ハナアブのみっちゃんもこの前人間の国の弁護士の無料相談に行ってきたって言ってたよ。
B : 無料相談だって!人間の国の弁護士ってそんなことまでしてくれるのかい?
A : らしいよ。
B : 無料相談かあ・・・。いいなあ~。僕も行ってみたい!
A : でも気をつけろよ。人間の国の弁護士のところまでたどり着くのは大変だぞ。
B : どういうこと?
A : 人間の国には殺意ってものがあって、僕たちのことをハエ叩きという道具で叩き潰そうとする奴がいっぱいいるんだ。
     だた、そこにいたっていうだけの理由でな・・・。
B : ただそこにいただけで!
A : そうさ!うろうろ道に迷っていると間違いなく叩き潰される。
B : マジかよ。めちゃくちゃ怖い世界じゃないか。
     でも・・・行ってみるよ。気をつけて行ってみる。人間の国の弁護士の無料相談に!

正義の女神
WilliamCho / Pixabay